アタシがアンタを好きになるなんて絶対にあり得ない


「……アンタ、これ全部ひとりで作ったの?」

土日が明けた月曜日。天澄は、複数の小道具の入った紙袋を持ってきた。未作成のリストに載っていた小道具達がほとんど出来上がっている。

「うん、頑張ったよ」

褒めて、と、天澄は首を傾げる。……でも。

「出来るんなら、最初っからやってくれない?バカじゃないの?!」

明らかに、数日前に作り上げていたであろうものがいくつか混ざってる。それに、アタシが見てないところとかでサボってたの知ってんだよ。

「……残念」

それを指摘すると微笑んで、そう呟いた。それが少し寂しそうに見えたのは、アタシの気のせい、だと思う。自業自得な部分もあるし。

「……」

と、天澄がアタシの後ろの大きめの紙袋に入った小道具達を目敏く見つける。

「それは?」

天澄に指摘され、思わずそれを隠そうとしたけれど、もう手遅れだった。だから、隠そうとしたのを諦めて、天澄の指摘に答える。

「……家で暇だったから、作っただけ」

バレないように混ぜ込もうと思ってたのに。

「キミも、頑張ったんだね」

アタシの様子を見ただけで色々悟ったらしいソイツは、いい子いい子、とアタシの頭を撫でる。

「っ、うるさい!」

その手を思い切り払った。頬に少し、熱が篭る。

「ほら、これ。さっさと役者の人達のとこ、持っていくよ!」

その事実を認めたくなくて、話を思い切り逸らした。作った小道具達は、持ってきたものでほとんど全部作り上がっていた。

「そうだね、道具がないと本番通りにはならないもんね」

天澄はうんうん、と頷いて小道具達をもつ。さり気なく量が多いやつや重いやつばかり持っていかれた。……そういう細かい気遣いとかも、モテる要因なんだろうなとなんとなく思った。