アタシがアンタを好きになるなんて絶対にあり得ない


二学期の後半になると、文化祭の準備が始まる。二学期の前半は体育祭とかがあったけど、あんまりカンケーないし、割愛。

アイツがキャーキャー言われてたことぐらいかな。学年、外部内部問わず。


閑話休題。


で。文化祭では、アタシがアイツと一緒に小道具制作係になった。担任の先生が、非常にめんどくさがりで、役割を全てくじ引きと乱数で決めてしまったからだ。そして、主導権をクラス委員の人に押し付ける際に一言、

「嫌だったら変えてもらえな」

そう言っただけだった。

アタシ達のクラスでは、今回は演劇というベタ中のベタな出し物をする事になった。だから、アイツはクラス中の人(と、話を聞きつけた他クラス、他学年の人)に、「演者に変えてもらって!」とか言われてた。

お互いに手先が器用だったのかもしれないけど、第一印象が変な奴と一緒に作業なんて、少し微妙な気持ちだった。それに、4月にアタシ、アンタをフってるんだよ?

「顔が良いんだから舞台に立つとか、売り子とか、もっと人が見そうな所やりなよ」とか言って担当を変えてもらおうとしたけど、天澄は変わる気はなかった。逆になんだか嬉しそうに、「小道具作り、頑張ろうね」とか言われた。

「高宮。アンタ、フラれた相手と一緒で気不味くならないの?」

とか聞いてみたけど、一瞬、何言ってるのかわかんない、と呆けたあと、「そういえばそんなこともあったね」とか抜かしやがった。

アイツはそもそも自分から告白してきたことすら忘れていたらしい。アタシが覚えていて、少し気を使ったことがバカバカしく思えた。