アタシがアンタを好きになるなんて絶対にあり得ない


入学式の日、少し風が強かったのを覚えてる。

入学式とクラスでのレクリエーションが終わって、解散した後のこと。中学が一緒だった友達と一緒に帰ろうと、桜の木の下で待ってたんだ。

ふと視線を感じて、少し目線を下げた時、少し低くなっている校庭に、誰かが居た。それは、同じクラスで且つ入学式で入学生代表を務めていた男子だった。

その時は、すごい顔が整ってる人が居る、と思っていただけだった。

だけど、なぜだか目が合った途端、その人はゆっくりと目を細めて微笑んだ。そう思ったら、こっちに歩いてきたのだ。

その少し前まで中学生だったとは思えない色気やらなんでこっちに来るんだとか色々に戸惑っていると、目の前まで来て、

「一目惚れなんだ。付き合ってくれる?」

と、言った。こういうモテそうな男は、簡単に女子を手に入れてからかって遊んでいるのだろうと思い、相手にしないことにした。だから、

「キョーミない」

そう、はっきり言ってやった。すると、少し目を見開いたあと、

「そっか、残念」

それだけ言って、「突然ごめんね」とだけ謝ると、そのまま去って行ったのだった。というか、謝るくらいならしないでほしい。


……でも、この後はしばらく告白なんてしてこなかったし、一緒に帰るなんてこともしていなかった。


じゃあ、二学期の文化祭の頃か。