夏祭りの日。
今年も、いつもの通りに、弟達や幼馴染、友達と一緒に行くことになってる。アタシと友達は浴衣を、弟達は甚平を着てる。
「ほら槙乃、はやく行こう?」
「花火は良い場所取らないと、すぐ埋まっちゃうんだよー」
友達の声がなんだか遠い。
「槙乃、一体どうしたんだ。なんだかいつもと違うみたいだな」
ぼんやりしていると、幼馴染のけいが声をかけた。
少し外に跳ねる癖のある黒い髪に、穏やかな黒い目、アイツと違って身長差もあんまりないし、無駄口はあまりしなくて落ち着きがある。
……ホント、アイツと逆みたいな存在、かも。まあ、アイツと同じように頭は良いし、運動も出来るけれど。
「ん……なんでもない」
……なんとなく、ホントは天澄と一緒に行きたかった…かも。とか思ってた。……今更だけど。
あんな断り方をしておいて、今更誘うなんて事もできないし、もしかしたらすでに誰かとの予定を入れているのかもしれない。
だから、アタシは天澄に連絡を入れる事が出来なかった。……というか、アタシとアイツの関係性ってなんだろ。……友達……じゃないな。たぶん。
「そうか。まあ、体調を崩したとかだと後々面倒だから、気を付けろよ?」
結構本気で心配しているみたいだけれど、深刻な感じにならないように、冗談まじりに、けいはそう言った。『後々面倒』っていうのは友達や弟、妹たちに文句を言われる事を言ってる。
けいの、真顔で冗談をいう所なんて、昔から変わらないな、とか思いながら
「なに、それ」
思わず、笑ってしまった。……もしかすると、アタシの緊張、というか思い詰めたような顔をゆるめようとしてくれたのかも。
「……っ!?」
急に、なんだか鋭い視線を感じた……ような、なんだか、嫌な感じがした。


