アタシがアンタを好きになるなんて絶対にあり得ない


「ねぇ、まきは夏休みとか、どこか行かないの?」

終業式の帰り道、天澄にそう聞かれる。アタシがさっき聞こうと思ってたことを、向こうから聞いてくれるなんて。

……少し嬉しくなってしまったけれど、コイツは普通の思考してないからな……。どこかに誘いたいとかじゃなくて、ただ『あってもなくても、少しくらい予定を教えてくれないかな』とでも思っているんだろうか。

「夏休み?……アタシは家の事とかあるから」

ホントは友達と出かける約束もいくつか入ってるけど、付いてこられたくないし。……さすがに付いて来ないか。でも、

「勉強しに、時折図書館とかにいるかもね。……土曜日とか」

土曜日くらいなら会えてもいい、とは思ってる。ま、天澄が来るかどうかは彼次第ってやつだけれど。あと、いい成績取れたし、ちょっとくらい勉強しても良いかも、って思ってるのはホントだし。

「ふぅん?」

少し興味なさそうな、冷たい返事が返された。……やっぱり、予定とか言わない方がよかったかな。

「アンタは?」

もやっとした気持ちが、言葉に混ざって強くいってしまう。……八つ当たりしたってしょうがないのに。

「ボクは……図書館で、暇つぶしとかしてるかもね。だから、偶然会っちゃうカモ」

天澄は戯けたように笑った。いつも思ってたけれど、天澄はアタシの攻撃的な言葉を受けても平然として笑ってる。それをすごいと思う、けれど。

「あっそ」

アタシの子供っぽさを内心では笑ってるかも、と少し悪い風に考えてしまう。だから、返事も子供じみたものになって。それが恥ずかしく思えて、顔を逸らした。

天澄はまだ、こんなアタシのこと、好きなのかな。