7月。天澄との関係がビミョーになって、アタシが気持ちを自覚してから、半月ぐらい経った。
誰もいない、校舎の隅の空き教室にアタシは呼び出されていた。呼び出された理由は、告白だ。告白だなんて、ものすごく久しぶりだな、なんて考えてた。少し前まで、天澄のことでいっぱいいっぱいだったし。
『まきは綺麗でかわいいから』なんてアイツはいうけれど、アタシはあんまり可愛くない自覚はある。顔付きとか、性格とか。
告白してきた相手は、隣のクラスの男子だった。接点とか何かあったっけ?と、内心で首を傾げていると、
「好きです、付き合ってください!」
と、男子は頭を下げた。……あんまり恋愛にキョーミなんてなかったから、いつも通り「恋愛はキョーミない」って断ろうと思ってた。でも。
なんとなく、アイツのことを想い出す。最近、近くで姿をしっかり見ることなんてなかったけれど、思ったよりしっかりと思い出せてるみたいだった。
「……好きな人が居る、から」
なんて言葉が、素直に溢れた。せっかく告白してくれたのは嬉しいけれど、アタシはアイツが好き……みたいだから。
アイツはホントは誰のことが好きなんだろう。アイツの『好きな人』について考えて見ると、胸がちくりと痛む。
「……本当に、その人の事が好きなんだね」
と、告白した男子は少し傷付いたように、だけれどすっきりしたように、笑った。
「うん。ごめん」
男子は教室から静かに立ち去る。その様子を見送りながら、アタシが、あの男子を傷付けてしまった事実を痛感する。
そして、アタシが『好き』な、アイツ……天澄のことを、傷付けてしまったことを想い、『きちんと謝りたい』『会って話がしたい』と、強く思ったのだった。
散々アイツの告白を全て切り捨てて『嫌い』だなんて、酷い言葉を吐いていたアタシが抱くのは、ホントはお門違いかもしれないけれど。


