アタシがアンタを好きになるなんて絶対にあり得ない


「ね、槙乃。あのウワサの真相、どうだと思う?」

「……何が?」

あの日のあとから、天澄はアタシに話しかけて来なくなった。やっと飽きたのか、と安心すると同時に少し寂しく思う自分がいる。

「あれだよ、あの高宮が告白全部断ってるってウワサ」

友達は面白そうに、噂の詳細を話してくれた。

「……そんなのあったっけ」

あんまり身に馴染みのない噂話だ。最近は、天澄関連の話を聞くとなぜだか落ち着かなくなる。胸のあたりがそわそわして、話を聞かずに逃げ出したくなるような、そんな感じに。

「相変わらずウワサに疎いね」

「誰か特定の人を決めたとか?」

もう一人の友達も、友達の話していた噂話を知っていたらしく、そのままその話をしていた。

「そういえばだけど、最近槙乃のところに高宮来ないね」

急に振られた、天澄の話題に心臓が大きく跳ねる。でも、動揺を見せないように、平静を装って返事をした。

「まーね」

「なんかあった?」

「少し前までよく来てたのにね?」

友達も、もう一人の友達も、アタシの心配をしてくれているみたいだ。

「……別に」

「そう?」

疑わしげに友達二人はアタシを見ていたけれど、『欲情したアイツに抱きつかれた』なんて、言える訳がない。

「なんかあったら私達を頼りなよ?」

「うん」

友達の優しさが嬉しくなって、思わず笑顔になる。

と、ガタリ、音がした。見ると、天澄が席を立って教室から出るところだったらしく、振り返らずに教室を出て行く。また誰かに呼び出しでもされたのかと思うと、なんだか気持ちが暗くなる。

「どうしたの」

アタシの様子に違和感を持ったのか、友達が声をかける。

「なんでもないよ」

首を振り、その気持ちを見なかったことにした。