アタシがアンタを好きになるなんて絶対にあり得ない


ある日、アタシは()()一人で帰っていた。最近はなかったけれど、やっぱり誰かと付き合ってフってフラれてを繰り返していたんだろうか。少し、気分が落ち込む。

今日は、特に夕飯のおかずとか買う必要はなかったけれど、なんとなくでスーパーのある道を歩いていた。別に、天澄を探しにきたとか、誰とデートしてるのか気になったとか、そういうのじゃない。

その周辺は人で賑わっているけれど、少し外れたところは薄暗くて、あんまり治安が良いとか言えない雰囲気がある。スーパーのある通りから、アタシの家がある道に行く時、そこの近くを通り抜けなきゃいけない。

特に用事がないのにくるんじゃなかった、と少し後悔しながらそこを通り抜けようとした時、暗い路地裏から天澄が出てくるのが見えた。

思わず足が止まる。どういうこと?「デートしてくる」とかメッセージに入れていたくせに、全然そういう風には見えない姿をしていた。顔とか少し腫れてるし、手には血が滲んでる。

「アンタ、何してんの?!」

と、声をかけた時、びくりと天澄は肩を震わせた。なんだか少し、怯えているような印象を持つ。アタシの方を見た天澄は、なぜだか自嘲めいた乾いた笑みを浮かべていた。

「酷い怪我してるじゃん!」

でも、そんなことは関係ない。怪我をどうにかしないと。バイ菌が入って化膿とか悪化したとか、そんなことになったら困るだろうし。

急いで近くの薬局で消毒液とガーゼを買ってきて、怪我の消毒だけは済ませた。天澄の手を握った時、その手が少し震えてるのに気付いた。……このまま放って置いて大丈夫だろうか。

「まき、離れて」

なんて、天澄はアタシを遠ざける。

「そんなこと言ったって、今のアンタの状態見て放っておけると思ってんの?」

とりあえずここから移動しなきゃ。天澄の手を引いて、住宅街の方へ移動する。天澄は少し前屈みに歩いていて、見えないところも怪我しているんじゃないかと、焦燥を駆り立てる。