どうして…何で?


私は、ただ呆然と立ち尽くしていた。


「噓つき。」


私の味方になってくれると。一緒に生きてくれると言ってくれたのに。また会おうって言ってくれたのに。どうして。

「ハヤトくんも、本当は死にたいと思っていたの?」

だったら、私もハヤトくんの話を聞いてあげれば良かった。もっと、話せばよかった。
次から次へと後悔が溢れていく。


「…時間をやり直せればいいのに。」


そんなことができたらきっと、今度は君を死なせないのに。


―君は、生きて


最期に私に言った言葉が忘れられない。

「君は生きてじゃないでしょ。…ハヤトくんも生きてよ!」

バカ、と力なく呟いた。
そして私は、静かに嗚咽をあげた。



どのくらい経っただろう。
不意に、心の中で声が聞こえた。


―やり直したいのか?

私は、困惑しながらも返した。

やり直したいに決まってる。そんなことができるなら。

―運命を変えることは大きな代償が求められる。それでもやり直したいのか?

ハヤトくんを助けられるなら、それでもいい。


―ならやり直させてやろう



その言葉に私は耳を疑った。やり直す、なんてそんなことができるはずないのに。



それでも、もし本当にやり直せるなら。今度は君を絶対に死なせない。

今度は私が君を助ける番。



君を…助ける。




ゆっくりと、意識が朦朧としていく。だんだん、目の前がぼやけていく。


今度は、君を。




そこで私は意識を失った。



                 D.S.
 


D.S…𝄋に戻るという意味の音楽記号