シンクロニシティ

ある日、病院にクラスメイト達がやって来た。いじめていた子も、見て見ぬふりをしていた子も先生も全員。


「申し訳ございませんでしたって、もう二度といじめないから。もう二度とそんなことしないからって謝りに来たの。」

みんな涙を流して、何度も何度もごめんなさいと顔を下げた。


「それを見てね、私思えたの。死ななくてよかったって思えたの。」

もし、あそこで命を落としていたら。クラスメイト達は一生罪を背負うことになる。

そうならなくてよかったと感じた。同時に、もうあんなにつらい気持ちにならなくてもいいんだと安心した。


死ななくたって、解決できたということを理解した。
「だから私は、退院した後でまた学校に通い始めた。」


だけど。


「…何も変わってなかった。」



あの病院での謝罪、涙が噓のようにクラスメイト達はまた自分をいじめた。何も、何も変わっちゃいなかった。


―あぁ、そうか。


死ななくたって、解決できたんだ― 何一つ解決しなかったよ?
死ななくて良かった― 死んだ方が良かった。


「生きていたって何も変わらないんだ、生きていたって何もいいことがないんだって悟った。心から実感した。だから、だから!」



―私は死ぬの。


最後の言葉はかすれてほとんど聞こえなかった。

彼女は嗚咽をあげた。

「君は…。」


君は…僕は何を言おうとした?

そんな彼女の姿を見て、何か言葉をかけるべきだとわかっているのに。何も言葉が出てこなかった。