シンクロニシティ

本当に、出会えてよかった。

だから、この出会いをこれで終わりにしたくない。


「また会いたい。」

その言葉に少女の目が大きく見開かれた。



「……そうだね。」

そう返すときの彼女の泣きそうな顔が、忘れられない。


***


「じゃあ。」


まだ屋上にいる彼女と別れて、僕はビルの階段を下りていた。


「そういえば、どうして彼女はこんな誰もいないビルに来たんだろう。」

何気ない疑問を口にした。


僕は飛び降りるためにここに来たけれど、もし死のうとしていなかったらこんなところに来ることはなかっただろう。


どうして彼女はここに、この屋上に……。



そこまで考えて、ある考えにたどり着いた僕はサッと青ざめた。足がピタッと止まる。


「もし、もし……。」




どうしてここに来たのか?誰もいない屋上だからこそここに来たのではないか。



―そんなのわかりたくもないって…言いたいところだけど。わかるよ。君の気持ち。

彼女のあの言葉。
曖昧に微笑む彼女の姿。
そして……さっきの彼女の泣きそうな顔。

当たってほしくないと思うのに、そう思えば思うほど糸が繋がっていく。





―もし、彼女もここに自殺しに来たのなら。そこで同じく自殺しようとしている僕がいたなら?



「今すぐ行かなきゃ!」


僕は素早く方向転換すると、さっきまで下りていた階段を上り始めた。


お願い、お願いだから間に合ってくれ。
こういうときに限って階段が長く感じる、

早く、早く。願わくは、勘違いであってほしいけど。