シンクロニシティ

「…僕のお母さんは小さい頃になくなっていて、お父さんと僕だけだったんだ。」


沈黙が二人の間を包んだころ、僕は静かに話し始めた。彼女は、僕の顔を見つめた。

「5 年前にお父さんが再婚して、新しいお母さんが来た。……けど。」

新しいお母さんは、僕が嫌いだった。

お母さんにとって僕は、お父さんとの間の邪魔をする前妻の憎むべき子供だった。



「何で、そんなに帰りが遅いのよ!」

ある時、そう叫んでお母さんは僕を殴った。

「何でって、今日は部活で遅くなるって言っ」
「あんたみたいな出来損ないに部活なんて必要ないわよ。辞めなさい!」

「なん……で」
そんなのこじつけじゃないか。

「うるさい、うるさい!!」
そう言って、さらに殴られて。蹴られて。



いたい、つらい、かなしい、やめて。…いたい。



僕は、翌日部活を辞めた。

お母さんに殴られることは次第に日常の一部と化していた。僕の体中にはあざと傷が広がっていた。


お父さんは、無関心だった。僕にも、お母さんにも。

「お父さん…!」


ヒステリーを起こして叫ぶお母さんに頬を殴られ、僕は思わずお父さんに助けを求めた時、


「うるさいな。黙ってくれ。まだ仕事が残ってるんだ。」


お父さんは、そう言って一度も僕を見ることなく。
ただ、パソコンに向き合っていた。