シンクロニシティ

「…救われたい。」


それは、紛れもなく本音だった。今まで偽り続けていた本音だった。


「じゃあ、今から救ってあげる。」

少女は涙目のまま笑顔を浮かべた。


確かに僕は飛び降りようとした、けれど僕は死ななかった。

君が止めてくれたから。君が生きてと言ってくれたから。


***

屋上の上で、僕と少女はぐったりと座り込んでいた。

「ありがとうございました。」

僕が静かに頭を下げると、彼女は笑った。


「ありがとう、でいいよ」

「…ありがとう。」

しばらくすると、少女は飲む?と僕にパックのジュースを差し出した。

自らの分も取り出してストローを躊躇なく突き刺した。

「じゃあ。」


ゆっくりとジュースを飲む。

美味しかった。普通の売っているジュースのはずなのに、すごくおいしいと思った。


「えっ、ごめん!まずかったかな。」

「いや、そんな…ちがう。」

いつの間にか、涙が溢れ出していた。


もし、僕がさっき死んでいたなら。美味しいって思うこともなかった。

僕が美味しいって感じるのは生きている証拠なんだと実感した。


「…生きててよかった。」

震える声で呟くと、少女は黙ったまま曖昧に微笑んでいた。