どうして?どうして君が…。



「君が、僕に生きてって言ったんじゃないか!」

そんなこと叫んだって君はもう戻ってこないことは知っているけれど。

「何で…。」


もしもう一度やり直すことができるのならば、今度は間違えないのに。
君と出会った、あの瞬間から間違えないのに。

「君に、死んでほしくなかった。」

まだ、耳には君が最期に呟いた言葉がへばりついている。

―ありがとう。死なないでくれて。


ふざけるな。拳を強く強く、握りしめた。

僕が死ぬことを止めて生きてくれと言ったはずの君が、自ら死を選ぶなんてそんなのおかしい。


「もう一度やり直させて…ほしかった。」

涙が次々と、手を伝っていく。
僕は、大きく嗚咽をあげた。



そのままどのくらい経っただろうか。しばらくした時、胸の中に声が聞こえた。

―やり直したいのか?

やり直したい。彼女を助けたい。

―運命を変えることは大きな代償が求められる。それでもいいのか?

それでもいい。やり直したい。


―なら、やり直させてやろう。

その声は、そう言うと聞こえなくなった。


「やった…。」

だんだんと、視界がぼやけて見えなくなっていく。僕は初めて笑みを浮かべた。

目の前に真っ白な世界が広がっていく。


―ありがとう。死なないでくれて。

もう、そんなこと言わせない。


「君を絶対に死なせ…ない。」


意識が朦朧としてくる。







――遡ること少し前