───sideA

私は、私は。あの少女の生まれ変わりなんだ。


そう、理解した瞬間。


たくさんの記憶が私の中に流れ込んできた。


「…そっか。」

大和さんが好きだったけれど、想いを伝えられなかったこと。

神社の桜の樹。

そして嫁いだ私。


今まで、パッと浮かんで消えたものたちがどんどんパズルのピースみたいに繋がっていく。


桜を見て胸が苦しくなったのは、頭の中に微かに記憶が残っていたから。

パッと浮かんで消えたものたちは、その微かな記憶で。


私、小梅は。あの少女、小梅の生まれ変わりなんだ。


胸元に手を当てた。



たくさんのことを頭で考えながらも、足は神社の階段を駆け上がっている。

タッ、タッ、タッ


私のスニーカーは、気持ちのよいスタッカートを刻んでいた。


「じゃあ、この神社も。」

私が、何だか行かなきゃいけないと思ったのも。


記憶の中の神社と比べて見ると、多少古びているもののこの神社と同じだった。