───sideA

どうして私は、あの少女を知っていると思ったんだろう。


改めて考えてみると、私の知っている誰でもない。

なのに、私は知っていると思った。 
何か懐かしいような気がした。


そういえば、少女は桜色の着物を来ていた。

どうして着物を来ていたのか。
それに。

「また桜…。」


『桜。』

さっきもそんな声が聴こえた。

「桜が何か、関係があるの…?」


ギュッと、私の着ているブラウスの袖口を掴む。



ブーッブーッ



突如、携帯が鳴った。

「電話だ。」

さっきの陽気な友人からの電話だった。

「もしもし。どうしたの?」

(もしもーし。小梅?あのさ、さっきのお土産のリクエストなんだけど。)

「あぁ、まだ買ってないけど。確か金平糖弁当と缶あめだったよね。」

(今、私お団子が食べたい気分になっちゃったからやっぱりお団子で。よろしくー。)

「団子…?」

『団子ですか!』
『美味しそうなので、買ってきました。』


また、パッと浮かんで消えた。