突然。

俺を閉じ込めるように覆いかぶさっていたコンクリート片が、轟音と共に吹き飛ばされる。

閉じていた目をゆっくりと開く俺。

「…大口叩いて御影市を出て行った割には、いい格好じゃない。哲平」

そこに立つのは、長い黒髪の美少女だった。

俺もよく知る、異能の少女。

「……」

苦笑いするしかなかった。

「よくよくお前には…みっともない姿を見せる事が多い」

「全くね」

薄笑いを浮かべながら長い黒髪を払った彼女は、片手を俺の傷口にかざし。

「       」

何やら聞き取れない言語を口走る。

それだけで、俺の瀕死の重傷は見る見るうちに回復していった。

ななみもかくや、という程の治癒能力だ。

「助け舟はここまでよ」

颯爽と。

彼女は俺に背を向ける。

「後は人間同士で決着をつけなさい…御影市で帰りを待っててあげるわ」