「ようこそ、機関本部へ」

男は言う。

「ここの警備は礼儀がなっていなくてね…レディに手荒な真似をしてしまった事、この通りお詫びする」

頭を下げるものの、男の目線は私達に向いたまま。

決して私達から視線を外そうとはしなかった。

「私が機関の『ボス』を務めている者だ。お初にお目にかかる」

「……」

私はその姿を、目をそらす事なく睨んでいた。

…機関の本部が、ここ国会議事堂だった時から、何となくそんな予感はしていた。

そして、見事に予想通りだったって訳ね…。

「貴方はお初かもだけど、私はよく見かけてるわ…テレビでね」

「…ほぅ…それは光栄だ」

薄笑みを浮かべる男。

その薄笑みに唾を吐き掛けたい気分に駆られながら。

「貴方がボスだったのね…現内閣総理大臣・大江幸次郎」

私は言い放った。