いよいよやばくなってきた。

ナイフの投擲速度は次第に速くなり、体を切りつけられる回数も増えてくる。

衣服に滲んだ血が、既に全身を真っ赤に染めている。

…乱れる呼吸を何とか整えながら、俺は量産型達を見据えた。

もう少し…もう少し一塊に集まれよ、お前ら…。

俺は、この戦闘でまだ一度も使っていない左手を疼かせた。

…この左手には、ずっと『力』を蓄積させている。

こんなに『力』を溜め込んだのは初めての事だ。

どれ程の炎が発生するのかは、俺にも想像がつかない。

だけど、一発で地下通路のこの区画を破壊する威力には十分すぎるのは確かだ。

奴らが俺にとどめを刺そうとフォーメーションを組んだ瞬間に、そのでかいのをお見舞いして、一網打尽にしてやる。

その為には。

「うぐ…」

わざと片膝をつき、致命的な隙を見せる事すら厭わなかった。