一直線に飛翔する炎は、しかし。

「くッ…!」

量産型達の念動力によって捻じ曲げられ、霧散した。

かつて1号も使用していた、念動力による障壁だ。

接近しない事には、あの反応には対抗できない。

だけど接近しようとする度に。

「うぐっ!」

小山田君の大腿部にナイフが突き刺さった。

幸い、それほど深くは刺さっていない。

「くそっ」

ナイフを抜き、投げ捨てる小山田君。

床に転がったナイフは、再びフワリと浮遊して彼に襲い掛かる。

…キリがなかった。

量産型達は無傷のまま、少しずつ少しずつ小山田君の力を削いでいく。

獲物を捕らえた猫が、嬲って嬲って最期には食らうように。

まるで足掻く様を、楽しんでいるかのようだった。

…1号の遺伝子データを使用したという量産型覚醒者達。

その残虐性も、きっちりと受け継いでいるかのようだった。