ただし、この研究も完璧じゃない。

何せデータが『あの』1号のものだからな。

何とかこちらの命令を聞かせるのが精一杯だ。

理性もねぇ、善悪の判断もねぇ、罪悪感もねぇ。

時には生みの親である研究班の連中にまで牙をむき、七人もの人員を殺してしまうなんて事もあった。

結果として、この量産型覚醒者達は、普段は機関の隔離施設に厳重に監禁され、拘束衣で雁字搦めにしておくしかなかった。

いずれ理性面の改良を施す予定だったんだ。

だから、ボスが今の時期に作戦に投入しろなんて言った時には耳を疑ったぜ。

こんなイカレた連中を野に放つなんて、どうかしてるとさえ思ったからな。

「覚悟しろよ、お前ら」

俺は嘲笑う。

「そいつらは俺の手じゃ止められねぇ…人間なんて、虫を踏み潰すくらい簡単に殺しちまうからな…同じ化け物でも、お前らとは格が違うんだ、格が」