全く。

この5人には骨が折れたぜ。

…覚醒者3号…小山田哲平が機関に叛旗を翻した時から、このプロジェクトは始まった。

現在機関にある覚醒者開発のノウハウを生かし、どうにかして覚醒者の効率的な開発方法を生み出せ。

ボスの一声で、研究班が寝る間も惜しんで研究に従事した。

とはいえ、1号や2号…黛なんかの能力は、殆どまぐれで成功したに過ぎない。

何せそれまでの機関は、手当たり次第に薬品を投与して、その中の誰かが能力を覚醒させるのを待つっていう、非効率的なやり方でしかなかったからな。

そこで見直されたのが機関の施設…人工的に覚醒者を作るプロジェクトだった。

タイミングよく、廃棄場で処分された筈の素体773号…あいつが能力に覚醒する。

これにより、施設での研究も全くの無駄じゃないと実証できたからな。

あとは773号の研究データをベースに、1号や2号の遺伝子データを分析、何度も手術や実験を繰り返し、どうにかして『念動力を持つ覚醒者の人工的な開発』に成功したって訳だ。

ノウハウさえ作り出してしまえば、あとは同じ要領で何人も作り出してしまえばいい。

簡単な事だった。