南の島のクリスマス(十年目のラブレター)

どれくらい眺めていただろう。
  二階のわたしの部屋の明かり。


その間も薫はただ黙ってアタシの手を優しく包んでいてくれた。



心が揺らいだ時、中からお母さんの声が聞こえた。
「お父さん、もうすぐ未来帰ってくるんよ。サッサと片付けてよ」と。



    ーー知ってる…
    知っててくれてる



亜紀ネエが薫に電話してくれ、薫がお母さんに話してくれたのだろう。



   覚悟を決めてドアノブを回すと
  ゆっくりとスローモーションのように
     開いたドア。



 ドアが開く音を聞いてお母さんが台所から小走りで来た。



 顔を上げることもためらい、ただ足元をじっと見ていたアタシ。それでも長年暮らした場所。音だけで見なくても手に取るように分かる。



 26にもなってまだ大人になれていない自分が恥ずかしい。東京に行って少しは変わった気になっていただけだった。