夜空を見上げていると、少しずつ背後から近づいて来る足音。そして「未来…」と呼ぶ薫の声に振り返るといきなり頬を(たた)かれた。


「薫…」


少しだけ続いた沈黙の後、
    薫はきつくアタシを
     抱きしめてくれる。

    降りしきる雨のような涙。


「なんで電話もせんのさ!うちら、親友やないん?幼馴染やないん?」


「托には話せんでん、お母さん達に知られたくなかってん…アタシになら話せてもいいじゃないん?!」


「アタシら何なんよ!?」


「ごめん…でも」
「いい…話したくなかったら話さんでん」


   また頭の中で准が好きだった
      あの歌が流れた。


「お帰り。」
「ただいま。」


「これでまた島が楽しくなる。」
「あとは准だけだね…」

「うん。」
「戻って来るかなあ…准。」

「アンタが信じんでどうすんの?」
「分かってる。」