島にフェリーが着いたのは
    10月6日の午後6時45分。



 気持ちはビルの解体で使われるような
     大きな鉄球以上に重く
     アタシにのしかかってくる。


      家族にも、薫にも
   誰にも連絡することなく
     黙って仕事も辞めて
    帰って来たのだから、
    どんな顔して帰ればいいのか
      分からなかった。


   アタシの気持ちみたいに
     陽が沈むのも
   だいぶ早くなっている気がする。


夕闇迫(ゆうやみせま)るフェリーの手摺(てすり)にもたれながら見る島が…


   嬉しいはずの気持ちがーーーー


      重い。
   そして…苦しくて悲しい。