ホテルに戻った亜紀が部屋に入ると、ベッドの横に倒れ、過呼吸になった未来が亜紀の視界を(とら)えた。



「冬ちゃん?」



 ジーンズの後ろのポケットからスマホをとり救急車を呼んだ。


 病院で診察を受けるとそこまで深刻ではないにしても、軽いPTSDを発症しているらしく、しばらく入院することになった。


「課長?」
「チーフ、未来ちゃんはどう?」
「今は薬で眠ってます。」
「課長?」
「あの企画どうなるんです?発案者がいなくなって…。」


「ん…関係ねえよ、そんなこと。個人でやってんじゃないから。そのまま続けるよ。」


「そうですね。」
「悪いけどもう少しいてくれる?」
「分かってますよ。だって冬ちゃんはアタシの妹ですもん。」


「妹?」
「ええ、昨夜、姉妹になったんです。」
「なら安心だ。」