南の島のクリスマス(十年目のラブレター)

「未来が育った島って栗洲島じゃなかったっけ?」
「うん、そうだけど…それが?」


「じゃあ100年に一度のクリスマス伝説って知ってるよね?」


雫の言葉の向こうに貴方が見えた。
どんなに待ち焦がれてみても無駄だったこの10年。


「うん、島の人間なら誰だって知ってると思うけど。それが?」


フロアランプだけが唯一の灯りの中
    ベッドを出て
スマホ片手に伸びるワインボトルのある棚。



そのワインボトルの脇の写真立ての中の
    幼かった恋心が蘇る。