南の島のクリスマス(十年目のラブレター)

 そんなに簡単に割り切れない。綺麗になってもまた浮かび上がるどす黒い(あざ)のような(けが)れ。


   ーーどうして?
   ーーどうして消えないの!
   ーーこのアザ…


 半狂乱になりながら擦っても擦っても、無いはずの黒いアザがわたしの視界から消えることはなかった。そしてこれから(なが)く、あるはずも無いこのアザに(おび)えて暮らすのなんて嫌!


 多分、3時間くらい泣きながらお風呂の中で戦っていた。

   こんなに塩っぱい。
    こんなに悔しい。
     こんなに(むな)しいお風呂。


 浴室を出る頃には薄っすらと窓のカーテンの隙間から朝陽が漏れて来ていた。洗面所の鏡に映る(みにく)い自分の姿にハッとなる。