「歩ける?」
アタシの赤らんだままの顔を(のぞ)き込むチーフ。

「もう終電ないから茜ちゃんと三人でタクシーで帰ろう。」
「でも…」
「方向一緒なんだし、どうせ経費で落とすから大丈夫。」


     三人とも横浜方面。
   茜ちゃん、アタシそしてチーフの順。


「それじゃ、一人で大丈夫?」
「はい。すみませんでした…ご迷惑かけて。」
「じゃ明日は昼からだから。」
「はい、おやすみなさい。」


 アパートの百メートルくらい手前のスーパーの駐車場でタクシーを降り、一人歩いて駐車場を抜けたところで最悪なことに雨が降り始めた。