まだ小学生だった頃、工事現場で二人で遊んでいた時、准が見つけたボルトを何年もかけて磨いて作ってくれた指輪。


「10年後のクリスマスにはちゃんとした指輪用意しておくから…」とアタシの薬指にはめてくれた。あれからずっとネックレスにつけていつでも一緒にいるナットの指輪。


 准を探しても探しても見つからないまま10年が過ぎて、その長い時間の中で何度も諦めようとして、ネックレスを外したことだって何度もある。


    それでも時間が経つと
    いつの間にか付けてた。
     それの繰り返しの10年。


 翌日はアタシ以外の4人はビーチで一日中過ごし、アタシは久しぶりに薫と托と三人で過ごした。5年ぶりの時間はあっという間に過ぎ、翌日の月曜日の始発の飛行機で東京に戻った。

 それからは会社としてもこの企画に本格的に取り組むことになり大幅に増員され、課長やアタシのいるチームは5名が増員され、チーフと亮のチームには雫ほか9名が増員され本腰を入れ始めた。

 そして悪夢の夜は知らないうちにアタシのすぐ後ろまで忍び寄ってきていた。


      足音も立てず
    声も上げずにーーーーー。