南の島のクリスマス(十年目のラブレター)

 その日はまだ工事中ということもあって電飾などは点灯されてはいなかった。それでも完成予想図を見ると大小様々な色とりどりの風船とそれらを照らす電飾が非日常の空間を演出してくれていた。



    この空間で伝説に出会えたなら
   奇跡が起こりそうな気になるーーーー。


それにこのツリーは海岸の方を向いていて、砂浜から見るとエントランスのサンタの真ん中に立っているように見える。そしてその周囲を囲むようにフードコートが作られ、その一番奥にバーカウンター。ここでお酒を傾けながらだとツリーの全景が見える。


    ーーここで准と…
     などと妄想してしまう。


「チーフ、ここで百人対百人の合コンパーティとか良くないっすか?」
と亮がチーフに耳打ちした。でもそれをスルーしたチーフ。


 しかもツリーを三方向から取り囲むように客室が配置され、メイン塔全ての客室六百室からこのツリーが見えるとのこと。客室はまだ内装工事中とのことで見ることはできなかった。

 一通り見て回りホテルを出たのは午後4時前。外に出ると薫と托がバスのところで待っていてくれた。