「薫、未来どうやったん?」
そう鼻をほじりながら鴨居(かもい)に手をかけて聞いてきたのは幼馴染で、薫の旦那の托。

「うん…微妙」
「微妙って?」
「クリスマスに期待はしてるとは思うんだけど…准に会えたら会えたで、怖いんじゃないかなあ」


「うん…あのこともあるからな」
「まさか托…アンタ、あのこと未来に話してなんかいないわよね!?」

「まっさか…言うわけねーだろ」

「それに言えねえよ。俺には…」
「何それ?アタシなら言えるっての?」

「いや…そういう意味じゃ…」


「とにかく…未来が帰ってくるといいな」
「そうね」

「でも…准の奴、どこで何してんだかな」
「買い物行ってくる」

四人の思いを(もてあそ)ぶように、島の千年海岸に春の日の夕陽が傾いていた。