少し子供っぽいとおもったけど
   昔から準が好きな格好にする。


そして待ち合わせのバーガーショップまでチャリを立ち()ぎで急ぐ。


   加速していく自転車。
    そして加速していく恋心。
   加速していく「好き」。


 アタシが着くと准も同じような格好でヘルメットを二つ両手に持ち
「10分遅刻!」
と片方のヘルメットをアタシに(かぶせ)せようとした。


「帽子脱いでない!」
と准の手を押さえると
「それ何?」
とアタシが持って来た大きな紙袋を指差した。


「これ…覚えてない?」
紙袋から取り出したのは昔もらったままになってたジグソーパズル。



「それ、中1の誕生日に俺がやったパズル!」
と少し呆れてアタシを見る。

「ピンポーン!そっ!今日モアイ村のカフェで作ろうと思って。ダメ?」

「俺もずっと気になってたんだ。あん時、一緒に作ろうって言ってて、そのままにしてたよな?」

バイクのシートに腰を下ろして遠く本島の方を見た准。
「もう作ったかと思ってた。」


「ううん…約束したし。准もきっと覚えてくれてると思ったし。」

「どうせ一人じゃ作れない?」
「…」

アタシが口を尖らせて背中を向けると後ろからアタシを抱きしめるように
「じゃ行く?」
って甘えて見せた。それだけでまた(きし)んでいく心。

准がヘルメットを被せ、顎紐(あごひも)を締めてくれた。