それから30分後…


「漁協長!大変ばい!」
事務所に駆け込んだ未来の父、順平。


「どげんしたとか?そげん血相変えて。」
「高吉が…」


「タカが…?」
「あの潮目の人喰い渦にカジキを獲りに行く言うて。」


「あのバカが…」
漁協長は顔を赤らめ…溜息をつくように吐き捨てた。


「もうすぐ嵐がくるとぞ!死にに行くようなもんじゃろうが!そんでお前はタカを止めもせんと行かせたんか!今すぐやめさせんか!」

「は…はい!」


 漁協長と順平は高吉を止めるために港へ急いだ。しかし漁協のみんながついた時にはすでに高吉の船はなく、激しさを増した風で散らばった旗だけがあちこちに散乱していただけだった。