「10年ずっと准のこと探してた。」
「ごめん…聞いたよ托に。」


「でも…俺もずっと探してたよ。未来のこと…」
「う…ん…」


あなたの言葉が10年の空白を埋めていく。


「今、准…何してるの?まだ横浜?」
「ん…横浜で営業の仕事。」



月明かりが海面を照らし、准の顔がくっきりと見える。

「何てとこ?」
「ほら。」
アタシにかけたジャケットのポケットから取り出した名刺。


ーー株式会社ウインズジャパン
第3営業 チーフ 東原 准


「何の会社?」
「教材の製作販売の会社。中高生向けの。」


「中華街のそば?」
「そう。」


 何度も言葉を探しながら、砂の上に落書きをする准と未来。波の音だけがそんなもどかしい二人に変わって話しかけているようだった。




   ーーーーまだ好き?
   ーーーー今まで1日だって
   忘れたことなんてない…


と…。