「何だよ、未来…そんなお化けでも見たような顔しなくてもいいじゃん!」



「准…やっぱり…准…」



「だよね…ホントだよね?」



 そのまま准の前にいると泣き出してしまいそうで、泣き顔を見られたくなくて波打ち(ぎわ)まで走った。


    ーーそんなに泣く子は
    お嫁さんにしてあげない!


   またあの頃のように
   そう言われたくなかった。



「あーーーっ!准が泣かした!」
と昔と変わらない悪戯(いたずら)っ子な顔で准を揶揄(からか)う薫。



「オレ?なんで俺のせい?何か悪いこと言ったか?」
托の両肩を掴んで言った准の言葉に急に真顔になる托。


「違うって…きっと。准が島を出て行ってからずっと准のこと探してたんだ、未来。大学からは島を出て東京に行ってたよ。少しでも准のそばにいたいからって。」


「それで暇さえあれば神奈川じゅうを探して回ったって。」


「この前、未来も5年ぶりに島に戻ってきたの。伝説の日に准に会うんだって言ってね。」


「准?」
「うん…」


「未来…幸せにしてやんなよ。」
「うん…」


薫の言葉に舌を向いて砂に足で何か書いてた准。