南の島のクリスマス(十年目のラブレター)

 風呂上がりに冷たい牛乳をコップに(そそ)いで、そのまま二階へ上がると、あの准がまだ島にいた頃と何一つ変わらない部屋の鏡の前に座って髪を(かわ)かす。


 髪を乾かした後、チーフに電話を入れた。わたしが会社を辞めた後、色々と大変だったらしい。


あの男も会社を辞めさせられたって聞いた。それに対しては何の感情もなかった。嬉しいという感情も、悲しいって感情も、(くや)しいって感情も…なんもなかった。


その頃、1階では両親がわたしのことを話していたらしい。


「あん子、どうしたんかいね?帰ってきてから一言も(しゃべ)らんで。」

多感(たかん)な年頃やないとか。女のこつは分からんが。」
「多感?もう終わっとるよ。」
「じゃけんど…未来は変に大人のことに染まらんとこあっけんな。」


 ドライヤーの音で何一つ聞こえることはなかったけど…後から聞いた話ではお父さんは心配でならなかったらしい。


何も離そうとはしないわたしをーーーー。