あなたの願い、残酷に叶えます。

自分に言い聞かせ、あたしは一気に駆けだした。


1年間ここで奴隷のように働いていた甲斐があり、あたしの足腰は丈夫だった。


足元は昨日振った雨のせいでぬかるんでいたけれど、そんなものものともない。


右足と左足を素早く前へ出し、前進する。


しばらく走ったところでひげの男が起き出した気配がした。


振り向くと上半身を起こした男がこちらへ向けて怒鳴っている。


それでも立ちあがる気配がないのは、酒が回っているからだろう。


あれなら追いかけられても逃げ切る自身がある。


あたしはまた前を向き、精一杯足を動かした。


足に蔦が絡みついて派手にこけても、トゲのある植物に行く手をさえぎられても、


あたしは絶対に足を緩めなかった。


後ろから追いかけてくる音は聞こえてこない。


やがて、見なれた景色が眼前に広がって、あたしは歩調を緩めた。


緑色の作物がなる畑。


村の真ん中に流れている川。


そして小さな家々。


それは1年前と同じ姿でそこにあった。


「あぁ……」


思わず崩れ落ちてしまいそうになる。