あなたの願い、残酷に叶えます。

逃げないと。


ここから逃げないと、あたしはあたしではなくなってしまう。


そんな気持ちが浮かんできたとき、不意に男のいびきが聞こえてきた。


見ると散々酒を飲んだひげの男は横になって目を閉じていた。


今日は隣の村に襲撃へ向かっているから、他の山賊の姿はなかった。


そしてあたしを監視していた男は今深い眠りについている。


あたしはゆっくりと立ちあがった。


ゴクリと唾を飲み込んで寝ている男に近づく。


着の身着のまま逃げる気はなかった。


途中で何に出くわしてもいいように、準備が必要だ。


あたしはゆっくりゆっくり、息を殺して男の隣にかがみこんだ。


そして腰に結わえてあった猟銃を手に取った。


銃を手にしたのはこれが初めての経験だった。


想像していたよりもずっと重たくて、一瞬ひるんでしまう。


でもあたしはそれを両手でしっかりを抱きかかえた。


これを持っていたら走って逃げることはできないかもしれない。


だけど、やらないといけない。


次に捕まったら待っているのは死だ。