「な、何をしているんだ!!」

現場に戻ってきた桜木刑事が顔を真っ青にする。圭介たちが恐怖の表情を見せる中、蘭はアーサーを見つめていた。

「私はたまたま記憶を失い、あなたに殺されずに済みました。ところが今、あなたが犯罪組織の一員であり、銃撃事件を起こしたことを思い出しています。私を殺しますか?」

「……こんなところで殺す馬鹿がいるかよ」

アーサーは素早く走り、蘭と間合いを詰める。蘭がアーサーを攻撃しようとすると、その手を掴まれる。そして耳元で囁かれた。

「ーーー」

その言葉に蘭の目が見開かれる。刹那、桜木刑事が「手を上げろ!」と銃を取り出したのが見えた。

「神楽さん!」

「蘭!」

ゼルダたちが悲鳴を上げる。蘭は今、アーサーに腕を掴まれている。銃を持った男性に囚われた人質としか見えないだろう。

「うるせえなぁ……」

アーサーはポケットから何かを取り出し、それを地面に投げ捨てる。その刹那、煙が巻き起こり目の前が白く包まれた。