走っていく蘭の後ろに圭介たちもいた。みんな事態をわかっているため、何も言わない。ただ真剣な顔で中庭へと走る。

蘭たちが中庭についた時、そこには多くの野次馬と警察がいた。その中に桜木刑事もいる。

論を将暉が睨み付けていた。その手には警察官から奪った拳銃があり、銃口は論の方に向けられている。いつでも発砲できる状態だ。

「馬鹿な真似はよせ!死んだおばあさんはこんなことを望んでなんかいない!」

桜木刑事や他の警察官が必死に将暉を説得する。しかし、「うるせえ!!」と将暉は空に向かって一発銃を撃った。野次馬が悲鳴を上げ、何人かが逃げ出していく。

「僕は……僕は……こんなにも警察が無能だと思わなかった!!犯人がわかっていながら逮捕せず、ろくに捜査もしないでケーキとコーヒーを楽しんで、被害者家族のことを何も考えちゃいない!!」

やはりあの時将暉は来ていたのか、と蘭は思う。あの時の会話を聞いて将暉はこの行動に移したのだ。警察が動かないなら自分で動くしかないと判断して。