「はい」

また解剖の依頼だろうか、と予想していた蘭だったが、先ほど感じた嫌な予感桜木刑事からは突き付けられる。

『今、春川将暉から電話があったんだ。ニュースでやっている拳銃を奪って逃走中の男は僕だと。トメさんが殺された病院に向かっているらしい。どうしてこんなことをするのか、理由はもうわかるだろ?』

将暉はトメを殺した犯人を憎んでいる。その犯人に復讐しようとしているのだ。しかし、まだ決定的な証拠を警察は掴んでいない。

「無理やり自白をさせるつもりでは……」

蘭は白衣を着たまま外に取り出す。電話を聞いていた圭介たちも蘭に続いた。蘭は車に飛び乗り、エンジンをかける。そして病院に向かって車を走らせた。



数十分後、蘭は病院に到着した。車を駐車場に止めると、いつもより病院に向かう人が多いような気がした。その人たちはみんな、中庭の方はと歩いていく。

嫌な予感が蘭の胸の中で大きくなっていく。止まっている車の中にはパトカーの姿もあった。もう手遅れなのか?ドクドクと心臓が鳴り響く。