蘭がトメのことを電話した際、ゼルダは泣き出しそうな声で話していた。ゼルダにとってトメは本当のおばあちゃんのように見えていたのかもしれない。

コール音が鳴り響く。しばらくするとゼルダが『もしもし。蘭、どうしたの?』と電話に出てくれた。蘭は桜木刑事が言っていたことを話す。

「……というわけで、ゼルダは何か玉井先生について何か知りませんか?」

蘭がそう訊ねると、『私、消化器内科だから担当の先生が違うんだよなぁ〜』と返ってくる。蘭はすぐに謝った。

「申し訳ありません。ありがとうございました」

そのまま蘭は電話を切ろうとしたのだが、『待って!』とゼルダが止める。

『これは患者さんが話していたことを聞いただけで本当かどうかわからないんだけど……』

ゼルダ曰く、外科で入院している人たちが廊下で輪になって話していたらしい。それは、玉井先生に対する愚痴だったそうだ。

『玉井先生は横暴で、看護師や他の職種の人に対してすぐに怒鳴り散らしたり、オーダーミスで検査の予約をされていなかったり、まともに話を聞いてもらえないってことが多いみたい』