ダメだ、ダメだ……!
月希先輩のことなんか考えなきゃいいのに!
「……どーしたの、何かあった?」
「う、ううん。何もないよ!」
ほんとは瑞月くんの好きな子が誰か、いまだにモヤモヤしてるなんて言えない。
「……ほんとに?」
一瞬、心配そうな顔が見えて、ゆっくり抱きしめられた。
相変わらず、瑞月くんからは柑橘系のさっぱりした香水の匂いがする。
この匂いがすると、瑞月くんがそばにいるんだって思えて。
でも同時に、瑞月くんが好きな子と両想いになったら……こうしてもらうこともできなくなるんだって。
やっぱり周りが言うとおり、瑞月くんがわたしのそばにいてくれるのは幼なじみだから……?
あぁ、やだな……。
またこうやって、いろいろ考えちゃう。