早くこのキスが終わって、出ていってくれたらいいのに……。
しばらくは大人しくして、見つからないように部屋の隅っこにでもいようかなって。
移動しようとしたのがいけなかった。
「……んぎゃっ!」
はっ……しまった、大失態。
動いたら転びそうになって、声が出てしまった。
お、おわった、おわったよこれ。
ぜったい2人に聞こえたって……!!
それを証拠に。
「え、今誰かの声しなかった?」
どひぃ……!
女の人のほうが気づいてしまったみたい。
「んー……なんか可愛い声したよね」
男の人のそんな声が聞こえて。
身を小さくして、その場にしゃがみ込んで、どうかバレませんように!って無駄に願い続けて。
「あれ、こんなところに女の子がいる」
「ひっ……!」
アウト、アウト……。
本棚のそばで隠れていたのに、あっさりバレてしまった。

