お父さんの前で瑞月くんの名前を出したのは久しぶりかもしれない。

チラッと顔色をうかがおうとしたけど、新聞で隠れちゃって見えない。


……と思いきや、新聞をカサッと閉じてコーヒーが入ったマグカップを手に取って口に運んでる。



そして一度わたしのほうを見て。


「瑞月くんはいったいなんの話をしにくるつもりなんだ?」


にこりとも笑ってないお父さん。

やっぱり、瑞月くんのことよく思ってないの…?


「み、瑞月くんだけじゃなくて、わたしもお父さんに話っていうか…お願いしたいことある……から」


ここは、わたしが瑞月くんのこと好きだから付き合うの認めてって言うしかない。




***



しばらくして、瑞月くんが家にやってきた。

インターホンが鳴った瞬間、真っ先にわたしが瑞月くんを出迎えた。



「え、えっと……」

「ひよのお父さん、ちゃんと家にいてくれてる?」


「う、うん」


緊張してるのは、どうやらわたしだけのようで、瑞月くんはわりと冷静。