「この前の夏休みも、陽依あなた足をケガして帰ってきたでしょ?」
「あ、あれはわたしが勝手に岩で滑って転んだだけで……」
「そのとき、そばに瑞月くんもいたんじゃない?それでまた陽依にケガさせたって責任感じちゃってるから、陽依と距離を置いてるのかもしれないわね」
だから……あのときの瑞月くんは、思い詰めたような顔をしていたんだ。
またわたしをケガさせたって、自分を責めるような。
「この話もっと早くしておくべきだったけど、なかなか言い出せるタイミングも見つからなくて、今になっちゃったのが申し訳ないわね」
「っ……」
「もし、陽依が瑞月くんと話す機会があれば、今のことを話してもいいと思うわ。もう何も責任なんか感じなくていいって。陽依も瑞月くんのことずっと好きだからこそ、そばにいたいでしょ?」
お母さんの問いかけにコクッとうなずく。
気づいたら瞳が涙でいっぱいになって、それがポロポロ溢れ落ちていく。
何も知らなかったのはわたしだけ。

