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「……さん」
「……」
「あ……やせさん」
「……」
「綾瀬さん!!」
「へ?」
ハッとして、時すでに遅し。
名前を呼ばれてたことにすら気づかなくて、そもそも今が授業中だってことも頭から抜けてて。
ボケッとしてたら、ほぼ目の前にお怒り気味の先生の顔が。
「さっきから何度も名前を呼んでましたけど」
「あ、すみません」
「それで、この問題すぐに解いてくれるかしら」
「え……」
どうやら、問題をあてられたみたいで。
でも授業なんかほぼ書いてなかったわけで。
そもそも今が何の授業なのかもわかってないほど、今日のわたしは絶不調。
おまけに机の上に出てる教科書を見て、先生から盛大なため息が。
「綾瀬さん。今は英語の授業ですけど。そんなに数学の勉強がしたいのかしら?」
1時間前に使ってた数学の教科書が机の上に乗ったまま。

