ジッと見つめたら、しっかり絡む視線。
かと思えば、先輩の視線が少し下に落ちた。
「ネックレスが髪に絡んでるね」
「え?」
スッと先輩の手が髪に伸びてきた。
優しくとかすように触れてくる。
「ちょっと後ろ向いて。絡んでるのほどいてあげるから」
言われるがまま。
先輩に背中を向けて、首元にかかる髪をどかす。
絡んでるって言われたけど、正直全然そんな感じしないし痛くもないし。
「はい、取れたよ」
ほんの数秒の出来事。
絡んだのがほどかれたんじゃなくて、ネックレスが首から取られたような。
パッと後ろを振り返ったら、いつもの笑顔でわたしのネックレスを手に持ってる月希先輩。
「え……ほどいたのとってくれたんじゃ」
「うん、それは嘘かな」
さっき助けてくれた優しい先輩はどこへやら。

