「えと……、ここは」
「僕の家だよ?」
「え……えぇ」
「ははっ、そんな驚く?」
そりゃ、この状況で驚かないほうが難しいよ。
月希先輩って、もともと王子様っぽいなと思ってたけど、住んでるところまですごいなんて。
「とりあえずさっきよりは落ち着いたかな?」
「あ……えっと、助けてくれてありがとうございました」
ぺこっと軽くお辞儀をしたら、先輩の大きな手が頭をポンポン撫でてくれて。
「どういたしまして。なんであんな治安悪いところに1人でいたの?僕がたまたまいたからよかったけど」
「友達と遊んでて。それでその子に急用できて先に帰っちゃって」
「へぇ、そっか。いつもの幼なじみクンは一緒じゃないんだ?」
「そ、そうです」
すると月希先輩は何も表情を変えずに、ゆっくりわたしとの距離を詰めてきた。
その距離、あと少しでお互いの肩がぶつかるくらい。

